東急ハーヴェストクラブ南紀田辺

和歌山県のほぼ中央、紀伊の山間に広がる龍神村。
折り重なるように連なる山々、龍のように曲がりくねりながら流れる清らかな日高川
ひっそりとたたずむ名湯龍神温泉などどこか神秘的で心癒やされる空気に包まれている。
そんな龍神村のもう一つの顔が芸術家や作家、職人たちが数多く移り住む「ものづくりの村」だ。
今回の特集では、2組の作り手に注目。
龍神村の自然素材に魂を吹き込む紙漉きと木工を紹介しよう。
東急ハーヴェストクラブ南紀田辺から車で約50分、川底が透き通って見えるほどの清流、日高川沿いを走って龍神村安井地区へ。この地で“山路紙(さんじがみ)”を用いた作品を創作している奥野誠さんと佳世さんを訪ねた。
美術の講師や先生をしていたお二人は、1984年に大阪から移住したそうだ。きっかけは、廃校を活用した芸術による村おこしプロジェクト「龍神国際芸術村構想」と出会い興味を持ったこと。その取り組みや活動を通じて集まった様々な人々の繋がりの中で、地域に独自の文化が根付いたという。
そんな龍神村で地域の歴史や文化を調べる中、かつてこの地の特産品だった山路紙を知る。日高川上流地域は古くから、和紙の原料となる楮(こうぞ)の産地で、それを漉いた素朴な山路紙が作られていた。これらは障子紙、食品保存袋、防寒機能を備えた紙蚊帳など、生活用品として使われていたそうだ。しかし、西洋紙の普及などで戦後は次第に文化が途絶えていった。
そこでふたりは、山路紙の復活を目指す。楮農家から栽培方法を受け継いで原料を生産。その楮を収穫して樹皮を剝ぎ、釜で炊き、水にさらして柔らかくなった繊維を木棒で叩きほぐして紙を漉く。さらに草木染や新たな技法を加えて独自のアート作品に昇華。個展などで発表するほか、インテリアの依頼なども受けているそうだ。
また、山路紙 紙漉き工房では、楮の皮むきから始まる古来の製法通りの紙漉き体験ワークショップも実施している(要予約)。紙文化のお話も興味深く、紙は森からの恵みだということを知ると共に、環境問題を考える機会になるに違いない。
和歌山県田辺市龍神村安井269-1
TEL/工房 0739-78-2228・自宅 0739-78-0185
龍神村は年間降水量約2800mmと非常に雨が多い地域。加えて山深い地形が良質な紀州杉を育む。この紀州杉をメインに、地元の紀州材のみを使って家具を製作している工房が「G.WORKS」だ。代表の松本泉さんは龍神村出身。35年ほど前に脱サラし、大阪から戻ってきて「龍神国芸術村構想」に参画した。
G.WORKSのものづくりのモットーは、家でほっとくつろげる家具。その真骨頂が「ロッキングチェア」だろう。杉の持つ美しい年輪や優しい手触りを生かしたデザイン。座面や背もたれに布製のクッションなどを使わず、すべて杉の無垢材を削りだす。その曲線は絶妙で実際に座ってみると心地よい包容感と安心感に包まれる。松本さんは少しずつ改良を重ねて完成形に至った自信作と胸を張る。このほか、低めの背もたれが腰を支えてくれる「コシイス」、安定した座り心地の「いすベンチ」なども秀逸だ。
こうしたG.WORKSの工房があるのは道の駅「水の郷 日高川 龍游」の一角。工房にはオリジナル家具をはじめ、地元作家の陶芸、和紙、藍染め、竹細工作品、チェンソーアートなども展示・販売しているクラフトギャラリーも併設されている。アクセスもよく、お土産探しにも最適なのでぜひ訪れてみてはいかがだろう。
和歌山県田辺市龍神村福井493
TEL/0739-77-0785

