想いにふれるステイ

草津が持つ「癒す力」の本質的な価値を、新しい滞在スタイルに

2025/06/26

草津という土地が本来持つ「癒しの力」を引き出すために、「東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA」では、自然環境と共生した心身を深く癒す滞在スタイル「Healing Green」を提案します。その実現のために集まったのが、さまざまな分野の専門家集団「Healing Green Studio」です。彼らをリードする宮田裕章さん、大田由香梨さんと、東急不動産ハーヴェスト事業部の蛭田俊之統括部長に、「Healing Green」とはどういったものなのか、過ごし方を見つめ直すことにもなった今回の取り組みについて語っていただきました。

ウェルビーイングの実現に欠かせなかった二人

「自然を想い、地域と、訪れる人とともに。」をコンセプトに掲げる「東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA」。自然環境を尊重した体験に重きを置いた新しい滞在スタイルの確立を目指し、蛭田部長がまず声をかけたのが、宮田裕章さんと大田由香梨さんでした。その理由と、「Healing Green Studio」が生まれた経緯を伺いました。
蛭田部長
まず草津という土地が持つ「訪れる人を癒す力」という価値をさらに高めていくために、自然の美しさといった“目に見えるポテンシャル”を活かしながら、“地域のために何ができるか”を考えました。そして、自然環境にも優しく、人にも優しい「ウェルビーイング」というキーワードが出てきたのです。それを重要なテーマとして検討を進めていく中で、表面的な評価にとらわれず、本質を突かれている宮田教授の視点に深く共感し、お声がけさせていただきました。
宮田教授
現在、世界中でオーバツーリズムが問題になっていて、ただ経済を回すだけの観光からやり方を変えなくてはいけない時期に来ていると思うのです。新しい滞在の在り方が必要とされているなか、「Healing Green」というのは、生態系にも配慮した滞在スタイルで、環境保全に貢献する意義深いもの。「地域にとっても、訪れる人にとっても良い」滞在になる、素晴らしい試みだと思いました。
蛭田部長
宮田教授は実際に草津を一緒に訪れていただいたときにも、「ホテルとしてどのような本質的な価値を提供できるのか」という視点で現地を見てくださり、その姿勢にも深く共感しました。
宮田教授
「Healing」という言葉には、リラックス以上、治療未満というイメージがあります。旅に出ると、未知の食べ物や何かしらの楽しさがあって、刺激的ですが、実際のところは健康からどんどん離れていき、ある種の疲れも伴ってしまう。実際のところ、旅によってバランスを崩してしまう方も少なくないと思うのです。これからの滞在の在り方として、自分自身の心と体を癒しながら、生態系にも配慮し、社会との関係性も整えていく「Healing Green」というコンセプトは必要になるものだと思いました。訪れる人と地域の関係性を根本的に変える可能性を持っていると期待しています。
蛭田部長
大田さんと初めてお会いしたのは、大田さんの二拠点生活(デュアルライフ)の場である「シラコノイエ」です。環境と向き合って活かしながら、未来を見据えて改修した歴史ある建物に感銘を受けました。その空間の中で、「食」は身体に取り入れるものという想いを込めた料理でもてなしていただいたことが、味わい以上に心に残る体験に。「心と体の内面に染み渡るこの価値を多くの方に感じていただきたい」という思いから、大田さんにお声がけしました。
大田さん
東急ハーヴェストクラブでの滞在について蛭田さんと最初にお話ししたときに、いわゆるホテルの感覚ではなかったんですよね。宿泊施設としての“今ある価値”ではなく、“未来に繋がる価値”を大切にされていた。一世代で終わるのではなく、お子さんやお孫さんに東急ハーヴェストクラブを継いでいってもらいたいという想いが、私自身の想いと重なって、胸に熱いものを感じるプロジェクトになりました。建物自体は長く変わらなくても、その中における過ごし方や価値観は時代によって変化していきます。私自身、新しい感受性を磨かれるような愛にあふれた暮らしを大切にしてきたので、一緒に「新たなエネルギーを生み出す場所」を作り上げていく作業はすごくワクワクして楽しいものになりました。

「Healing Green」の多様な滞在スタイルとは?

宮田教授
草津温泉には、誰もが同じ入り方をしなきゃいけない「時間湯」という文化がありました。でも、今回の取り組みでは、「Healing Green Studio」が中心となって、滞在する宿泊者に合わせた多様な滞在スタイルを提案しています。家族や仲間と来ていても、自分自身の体調や天候、気分によって、どう過ごしたいかは変わってくるはずです。しかし、旅先ではみんなが同じ行動を取らなくちゃいけないような空気になります。「Healing Green」は、みんなで同じ体験をしましょうではなく、個人の変化に寄り添ってくれて、時を重ねていくことができる。本当に豊かで新しいと思いますし、今注目されている「データの個別化」が現実のものとして広がっていくことを感じます。「ウェルビーイング」において大切な“多様性”に寄り添える場所になっていると思いますね。
大田さん
滞在スタイルの構想を形にするまでの道のりは長かったですね。いわゆる観光の「光を観る」という考え方だけではなく、「訪れた方が来たときよりも、より良くなって帰っていくこと」、そして「もう一度、帰ってきたいと思える体験価値を提供すること」に重きをおいて作り上げてきました。「Healing Green Studio」というプロフェッショナルなチームは、暮らしに本質的に向き合い、持続可能なライフスタイルを実践している方々ばかりです。メンバーの皆さんが、自分の体や心を整えるために休暇に行くという考え方を重要だと思っている方々だったので、共感して協力していただけたのだと思います。そのメンバーと連携して、宿泊者に多様な選択肢を提案できる仕組みを考え、「センシング」という最新技術を取り入れることになりました。宿泊者には生体センシングによって身体のコンディションを可視化し、その結果を参考に4つの体験領域「美容、美食、健康、温泉・サウナ」に関して適したプランを提案します。そして宿泊者が滞在スタイル(trek[トレック])を選べたり、同じグループで体験を共有しながら過ごしたりできるようにする予定です。それによって、心身の健康や癒しという面での達成感や充足感が高まると思います。

ありのままの草津に癒される滞在体験の意味

大田さん
ノイズの多い現代社会において、日常の生活空間から離れて、草津に籠る時間をぜひ体験してもらいたいですね。自宅のように暮らしながら、自然のままの木や地下から湧き出る温泉、火の温もりといった自然のマテリアルを身近な空間で感じられる。そうした中で、自分の体を見つめ、心に向き合える環境になっています。眺めているだけで癒やされる、温泉に浸かっているだけで温まる…癒しを自然と感じられる。日常生活において、疲れが溜まってきたから草津に行こうかと思える場所になると思います。
宮田教授
草津は湯畑だけでも温泉に来たぞという感覚になれて、観光地としてすごく優れていると思います。一方で、温泉ばかりが注目されて、周辺の豊かな自然や癒しの本質はまだまだ深掘りできる余地があるように感じるのです。美味しいものをたくさん食べ歩きして、胃がどんどん疲れていくような状態は、むしろ、かつての湯治文化から離れていっているようにも思える。非日常を楽しむことは旅の醍醐味ですが、それによって身体がガタガタになることは癒しの本質ではありません。それを「Healing Green」が引き戻すというか、地域そのものを癒しながら自分自身も癒されるという、深い意味を持つ滞在体験を提供してくれます。この体験が広がっていき、理想の旅の価値が多くの人にとってスタンダードになることを期待しています。
蛭田部長
東急ハーヴェストクラブ草津&VIALAはどこにいても大自然をすぐそばに感じられる、自然環境を活かした建築デザインによって、快適性と環境配慮の両立を実現します。その中で、宿泊者一人ひとりが自分の状態に応じて多様な滞在スタイルから体験を選び、草津という環境や自然の力によってHealingを感じ、より良い状態になって日常に帰ることができる。そんな人生を豊かにする場所になれるよう開業まで推進していきます。
宮田裕章
慶應義塾大学 医学部 教授アドバイザー
専門はデータサイエンス、科学方法論などの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための研究を行う。専門医制度と連携し、「LINEと厚労省の新型コロナ全国調査」など、医学領域以外も含む様々な実践に取り組み、経団連や世界経済フォーラムと連携して新しい社会ビジョンを描く。本施設では、サステナブルでウェルビーイングな滞在視点のアドバイザー。
大田由香梨
ライフスタイリスト総合プロデューサー
人の営みに必要な衣・食・住をスタイリングする「ライフスタイリスト」として活動。持続可能な社会の実現と心身の健康や成長を大切に、ウェルビーイングで美しい未来のライフスタイルを提唱している。本施設では、サステナブルなパーソナライズ体験の設計と、美しくゆとりのある空間をプロデュース監修。
蛭田俊之
ハーヴェスト事業部統括部長
1997年東急不動産に入社。外資系リゾートホテル・東急ステイ・東急ハーヴェストクラブの開発グループリーダー等を歴任し2023年より現職。新規のホテル開発に加え、既存施設のバリューアップや会員価値向上の取組み、地域に根付く持続可能な新たな事業の計画も手掛ける。

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